| 石 | |
|
東京の街並みが 喧騒なんかじゃなく 「あと何回これを見ていられるだろう」と 優しい風景に感じた きっとここが好きなんだ 倒れる寸前なのに 上を向いてる
言葉を持たない芸術が歩き回ってて それでも声を出すからうるさくてかなわない 栄養になるセリフは自分の中で赤くなる でも芽をださずに固まった姿の 石 私は石
雨の間から今日も 街の形を見てる 夢らしき物がうんと行過ぎてはぶつかってく 独りで越えてる夜を みんなコートにしまいこんだまま 視野がせまいなんて誰も 思ってないみたいだ 不思議だね 真ん中にある物が 痒いような気がしてる 掻き毟りたいけれど その手がない
変化したくていつも削られるのも好きだった でも誰も私を貫くなんてできない 身体を貫く物を自覚してない時こそ 創造は雄弁だと誤解してきた愚かな 石 私は石 ただの石 不細工な石
そう それは長い事 涙流しすぎて 心の壁なんかが 溶けてしまったらしい 清潔な常識 流麗な日常 流れ落ちたら 変身した
あの場所を埋める為 時間を遡るばかり こんな思い詰め方は生きてなかった錯覚 これをもしも恋と誰かに名付けられたら 恥ずかしくて死にたくなる だからこの姿になった 石 私は石 ただの石 不細工な石
譲れない物だけが殖え過ぎた男は どんな鍵をあげればドアが開くのだろう 大切な腕時計を失くした女は 縛られてない寂しさ 必ず泣いてるはずの 石 私も石
いつからいつまでそこにいるのって聞かれても そんな事自分で解らない 子供に投げられたりもするよ最近 手頃な大きさのせいかもね 細いナイフなんかじゃ傷つかないよ だってヤな奴の靴の底にいた事もある どこからどこまであなたなのって聞かれても そんな事自分で解らない
きっとアンモナイトは すごくおかしな景色を 笑って見ているんだ
|
|